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(ミシン)青の炎

ミシン
06 /17 2017
シンガー ブルーチャンピオン 全景

ひょんなきっかけで事務所の真ん中を占拠する
こととなったシンガー188u。

妻も事務所に来て、その大きさと重さに驚きを
隠せない様子でした。

「じきに家に持って帰る」のセリフが出なかっ
たと言うことは、このまま事務所で保管しろと
のことなんでしょうか?

私はメカニカルなモノが大好きなので調べない
筈はありません。

シンガー ブルーチャンピオン 本体

すると1957年辺りから数年間、宇都宮工場
で生産されたシロモノだということが判明。

明らかに自分より年上の機械なんですね。

運ぶ際、若干機械からオイルが染み出たの
で、数年前まで稼働していたんでしょうか?

勝手な想像ですが、職業用ミシンということ
は趣味でなんとかというよりも、洋裁か何か
の下請仕事でもされ、生計の足しにしていた
のかと考えられなくもありません。

(だとすれば、ご家族の方は機械を操作する
故人のその後ろ姿の記憶があるに違いない、
いや、間違いないぞこりゃぁ!)

妄想が膨らみ放題のこの段階で、ヤフオク
に出品し、小遣い稼ぎの処理をする選択種
は吹っ飛んでしまうのでした。

親族の方が懐かしみ、いつ何時(あのミシン
どこぞや?)となるかが分かりませんから。

いくら貧乏とは言え「生活の足しにしました」
と答えたくはないですからね。

そこで多少の借金でもして、この青(ミシン)
をレストアでもしてベストな状態でお返しでき
る状態にしておこうか!となるわけです。

そしてその思惑に立ちはだかるのが、私が
大嫌いな(権威至上主義に翻弄された思想)
とも言うべきか、既得権益の香りがプンプン
臭うその道の自称プロフェッショナル集団の
悪しきマイルールなのです。

何十年、何百年と年月を重ねた機械やその
台や脚は、いわゆるアンティークミシンと呼
ばれるカテゴリーに属しつつあるので、素人
の質問に真摯に答えてくれる修理屋や販売
店等は容易に見つかる筈もありません。

話を聞いてくれるどころか、使うあてが無い
のなら持つべきではないと叱られる始末。

私、この手の似非プロ意識には必要以上に
スパークする傾向にあるのです。

何しろ現行の仕事でもプロフェッショナルで
あることをアピールしてみたり、従属年数を
御上から贈られた勲章のように掲げる人間
や集団はロクなもんでないと身に沁みて分
かっておりまして。

自らをプロであると公言する人間って偽物
ばっかりなんですよねこれが。

本物のプロフェッショナルとは寡黙で多くを
語らず、謙虚な方ばかりです。

そんなケチ臭い商人どもを尻目に、我流で
構造や仕組みを知ろうではないかと、ヤフ
オクで110年前から60年前のシンガー6台
を落札するという暴挙な行動をとる私。

シンガー兄弟 (1)

きゃび3

ポータブル191u

そして個性的なシンガーが届き、その品々
を見ていくと、何十年何百年も前に作られ
ているのにもかかわらず、相当考えられた
秀逸なコンセプト商品であったことが分か
ってきます。

分解して構造を学ぶ決意が日々揺らいで
ゆくんですよね。

(実験台にしてしまうのは罰当たりか?)

その秀逸な機械達をマウスにするのを諦め、
アンティークの置物ではなく、レストア
して新たな100年の道筋を模索するため泥や
ホコリにまみれた機械の再生を考え始め、
本物の修理職人を探すことになりました。

そして横浜に来て所帯を持った頃に住ん
でいた賃貸住宅のその近所に、色あせた
ミシンの写真が貼ってあるお店があったこ
とを思い出し、電話をしてみました。

そこはまだ存在し、ミシンを売る店ではなく
修理屋であることが判明しました。

「いつでもいいから診せて下さいな」

その話しぶりは決して高圧的な感じはなく、
何だかいい雰囲気の町医者のような感じで
したので、110年物と60年物の2台を準備し、
即伺うことになりました。

後日知るのですが、その修理師のおいちゃ
んは今年の4月に朝日新聞で取材されてい
る、結構有名なおいちゃんだったのです!

安田のおいちゃん

さぞミシンに対しての思い入れが強いのだ
ろうと勝手に思いこみ、機械に対してのリス
ペクトを籠めた言い回しを羅列していると、
寡黙に聞きながら機械を診ていたおいちゃ
んが語り始めます。

「ミシンは飾るための美術品でも骨董品
でもないよ、布を繋ぎ生活をあっためる
ただの道具なんだよね」


あれれ、本物のプロフェッショナルに出会っ
てしまった瞬間です。

この道何十年と声高にアピールする似非骨
董商の修理人どもに聞かせてやりたいこの
セリフ。

この日からすべての機械を持ち込み、オペ
をお願いすることになったのです。


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